てくてく てくてく 歩いてく。
駆け足やめて、てくてく てくてく。
「N・P」という本の翻訳をしようとした人は次々と自殺をしてしまう。
それは本の呪いなのか、それとも・・・。
みたいなお話の導入で始まる物語。
私の中ではミステリーという感じではなかったかな。
登場人物はさわやかな初夏の風のようでもあり、初夏の浜辺の砂のよう。
前触れもなく吹いてきた気持ちのいい風だったり、
表面の熱い砂の一段下にあるあのひんやりと癒してくれる湿気を帯びた砂のよう。
でも、気持ちのよさに浸ろうとすると指の隙間から逃げていってしまう。
そんな感じ。
どことなく悲しげで、憂いがあって。でも、さらりとしている感じもする。
読み終わった後、
”大感動”や、”涙が止まらない”なんてことは全然ないけど
不思議な感覚が残る。
きっとすぐには読み返さないけど、数年後読み直したくなる不思議な本。
世間では感想は賛否両論らしい。
でも、私は好き。
PR